TaraBookShelf/2002-09-24
;BOOK;「警視庁草紙」読んどりますが
ぱぱこせるより借り受けた
COLOR(indianRed):山田風太郎
明治もの。まず取り出したのが上記書籍であったので読みすすめている。まだ第3〜4章くらいなんだが、長編というよりも連続ものといった感じでタイトルは失念したが前田慶次郎の登場している作品なんかと趣が似ている。趣というかなんというか、江戸3百年直後のご一新の混乱期のはざまの「いずれなくなっていく者ども」の最後っ屁というか村祭りの儚い日々...というのは山田風太郎の一流の舞台のように思える。
ここまでのところで有名どころなだけで当人が登場していたりしていなかったりだが、西郷隆盛、坂本龍馬、夏目漱石、樋口一葉などなど、明治期の歴史上の人物登場というと結局読み終えていないんだが、の「帝都物語」になるわけだが、こういった史実の人物を使ってのお遊びというのはフィクション世界においてさかんにおこなわれていたのだなあ、などと思った。その引き出し方も深すぎずさらりとこなしてしまう下りに筆者の力量を感じずにいられない。
明治モノはトンデモ忍者が登場しない、という理由だけで避けてきたのだが、何よりかの先生の筆の走るさま、その文体が好きなのだということを理解し、かつぱぱこせるからの直・波紋疾走もいただいていることだし、当分学術書なんかと並行しながら山田風太郎世界を行くことになりそうだ。